2021-22シーズン始動インタビュー 岸本 隆一 選手編
長いシーズンを多くのファン、スポンサー、メディアをはじめとする多くの方々と共に戦い抜くために、チームが描くビジョンや思いを共有したく、インタビューシリーズをお届けします。
沖縄県名護市出身で2013年のプロキャリアスタート以来キングス一筋の岸本選手。沖縄視点で語られることが多いですが、今季の開幕の大舞台を前に、独自の幅広い視野でキングスを沖縄を日本のバスケを見ています。
沖縄アリーナでの初・観戦体験
実は、7月の日本代表戦で初めて沖縄アリーナで観戦したんです。観戦は快適だし、コートに集中して熱狂できる。コートと観客席に一体感が感じられ、いい試合がよりいい試合になるので、ぜひ多くの人にここで見てもらいたいと思っています。
日本代表が、自分たちがホームにしている沖縄アリーナで試合をしているのが誇らしく感じました。4月に初めて試合をした頃は、まだ慣れていませんでしたが、今はホームだと実感できています。
今季の開幕戦の重さ
2016年の開幕戦は、Bリーグの歴史的第一試合という大舞台で琉球ゴールデンキングスが試合をすることになり、ワクワクしていましたね。文字通り毎週欠かさず、チーム練習がオフの日は東京に行って取材を受け、とても注目されていると感じました。身体的な疲労も蓄積していましたし、ただ新しいこれからのファンになってくれるであろう人たちの期待を裏切れないという責任も感じていたので、とても重かったですね。自分に自信もなく、あまりに大舞台で、どしっと構える度量がなく受け止めきれない部分もありました。
あれから5年経って、今度は沖縄アリーナで開幕を、あの時と同じアルバルク東京を迎えて試合ができる。プレーヤーやコーチも入れ替わりましたし、そもそもBリーグはいろんなことが変わった。これまでにいろんな人が力を尽くしてくれた。頑張ってくれた人たちがいて自分たちがいる。その気持ちを背負って戦いたい。この舞台を作ってくれた人、ここで開幕を迎えたかった人への責任を感じています。5年前とは重みが全然違う。開幕戦ではその想いをコートで表現したいと思います。
2021の新キングス
この5年間で、外国籍選手のレベルが上がりました。よりフィジカルが強い、より速い、なんでもできる選手が増えた。それに日本人選手も引き上げられているし、そうでないと試合に出られない。その上で球団の色や特徴が出てきました。
今年のキングスの新加入選手はそれぞれに力あるし、相手からみると、ボール持たせるのが怖い、警戒させるオフェンスになって行くので、そこを活かして戦っていくことになると思います。
例えば、小寺選手は、ビッグマンでありながら、3Pも狙えるし、遠くにパスを出せる。練習中にも周りをよく見ているなと感じさせてくれます。ダーラム選手は、フィジカルにプレーすることに慣れていて、密集していても前に進む力があり、気付いたらゴール下にいるような選手です。フリッピン選手には、チャンピオンシップ(以下CS)ではやられました。沖縄にゆかりがいることもあって、乗せてしまったのがつらかったですね。味方として期待しています。渡邉飛勇選手は、代表戦で見ました。キャリアが浅い自覚があり、足りないことをポジティブに受け止めている。いい意味でミスに対して恐怖がない。フレッシュさがあるし、どんどんチャレンジしてほしいですね。
CSでは、どんなに準備していいても、予想外のことが起きて、戦術を超え個々が持つ能力で打開しなくてはならない場面が必ずくるものです。それを実行できる選手が揃ったと思います。
選手の分析の基準ですか?個人の能力や、プレー自体よりも、キングスとしてどうはまっていくのかを考えるクセがついていますね。なによりそこが大事なので。
優勝に必要な土台ができた
自分自身は、毎年このままではいけないとオフシーズン取り組んできました。この5年で、ディフェンスは評価してもらうことが増えてきたけど、まだまだですね。オフェンスは、シュートを打つ前のステップワークのバリエーションを増やし、相手の守り方が予想と違っても対応できようになってきました。自分でシュートチャンスを作れるようになってきましたし、これからクーリー選手、ダーラム選手、小寺選手など周りとの連携が深まり、攻撃の幅が広がると思います。
なにより、悪い状況を受け入れる力がついてきたと思います。自分が置かれている状況を受け入れることは自分自身の至らなさを受け入れることでもあるのですが、その上でどうするべきか次を考えるようになりました。
長いシーズン中はどんなに準備していても悪いことは起こりますが、昨季はそれに引きずられて気分の浮き沈みが多かったと思います。精神的な面がまだまだブレていた。今は、チームで起きたことに対して、いち早く気がついて行動に移すかを意識しています。何が起きているか素早く具体的に察知して、解決するためにプレーやチームメイトへの声掛けなどをする。短い期間で状況を変える。昨季のCSで学んだ、というより思い出した感覚です。19-20シーズンはコロナのためCSがなかったですから。この感覚で常日頃からやっていないといけないし、この感覚でようやく勝負できる。優勝に向かうためにチームの雰囲気を整えることには自信があります。100%集中するための土台ができています。
人の気持ちを動かすプレーを
今回の開幕戦のような大きな舞台が沖縄で開かれることが、日本に与える影響は大きいと思います。いろんな人にとっていい場所、いいきっかけになるようなゲームになるといいと思っています。自分たちが子供頃はみることができなかったような試合を沖縄の子供達に見せたいですね。
バスケのいいところはシュート以外にチームの雰囲気だったり人の気持ちを動かすプレーがたくさんがあること。ファンや関わった人たちの想いを想像して、受け止めてプレーするのは必要なことです。勝ち負け以上に大事だと思っています。
#14 岸本 隆一
生年月日 :1990年5月17日
身長 :176cm
体重 :75kg
ポジション:PG/SG
出身 :沖縄県
出身校 :大東文化大学
主な経歴 :
2013- 琉球ゴールデンキングス
日本代表歴:
2016年 日本代表候補重点強化選手