2021-22シーズン始動インタビュー 渡邉 飛勇 選手編
長いシーズンを多くのファン、スポンサーの皆さまと共に戦い抜くために、チームが描くビジョン、思いを共有したく、インタビューシリーズをお届けします。
ルーキーで新加入の渡邉飛勇選手選手。ハワイ出身、オリンピック出場など華やかな経歴の隙間から、自分の置かれている状況を捉える冷静さが垣間見えてきました。
ハワイ。バレー。バスケ。
僕が育ったのは、ハワイのオアフ島、ホノルルから45分離れた先住民の影響が残るような小さな町です。友達や弟と遊びながら自然とバスケを始めました。中学生の時、背が高かったから先生にバレーボールに誘われて、バレーを主にするようになりましたが、バスケも続けていました。高校2年生の時は、バスケの州大会で優勝し、最優秀選手に選ばれました。バレーをやったことでジャンプ力など身体能力は成長したと思います。高校3年生になって、バスケを主にやるようになったのですが、今度は準決勝で敗退し高校最後の大会は優勝で締めくくれませんでした。そして、大学に進級すると上級生にかなり差をつけられていて、挫折を感じ、バスケにより真剣に取り組むようになりました。
日本代表へは母の売り込みで
ある日、ポートランド大学のチームメイトでマリ共和国出身のタヒロウ・ディアバテに、「JBA(日本バスケットボール協会)にHugh(渡邉飛勇の英名)について尋ねられた」と言われました。ディアバテ選手は、高校時代新潟に留学していて、日本のバスケ界と繋がりがあったのですが、僕はJBAすら知りませんでしたし、日本でこんなにバスケが盛り上がっていることも知らなかったんです。後になって、母親が僕に内緒でJBAに売り込みのメールをしていたことが分かりました。とても驚きましたが、そこから色々動き出したんです。
オリンピック
オリンピックは素晴らしい経験でした。いよいよ開会式の入場という時には武者振るいがしたのをよく覚えています。
世界中のトップアスリートが集まっているので、どういう取り組みをしているのか興味があったし、とても勉強になりました。41歳の今でも20点以上取るようなルイス・スコラ選手(バスケアルゼンチン代表)が行なっていた、ヨガや筋トレなどの体調管理の取り組みには感銘を受けました。
前は憧れの存在、不死身の遠い存在に見えた選手も、近くで見ると普通の人間と思える時もあり、謙虚さが大事だということも分かりましたし、今後のキャリアで、いかなる障壁があったとしても乗り越えられると思える貴重な体験になりました。
また、日本代表最終選考に至るまで2ヶ月の競争がありました。素晴らしい選手が多く、自分は大学時代の怪我もあり本調子ではなく、自分も周囲も自分が最後まで残れるか疑問に思っていたと思います。それでも残れたのは、選手のみならず人として成長できたと思います。
ホーム・沖縄での試合
オリンピックの前の沖縄アリーナでの試合は緊張しました。素晴らしいアリーナの大勢の観客の前でダンク決めた時の雰囲気は最高ですばらしい経験でした。アメリカではNBAのアリーナで試合したこともありますが、ホームとして30試合もしたことはないので本当に楽しみです。
母親の出身地の東京や親戚がいる四国には時々来ていましたが、沖縄は代表戦で初めて来ました。まだあまり見て回れていませんが、代表戦の時は、ホテルから夕日を眺めたり、三線を体験したりする機会もありました。
本当にハワイによく似ていて故郷を思い出させてくれる場所で、食事や音楽などいろいろな面で気に入っています。普段は、ビーチバレーや、ヨガなどのんびりマイペースで過ごすのが好きなタイプなので、これからの沖縄生活が楽しみです。
キングスの一員として
まだ数回しか練習していませんが、選手もコーチも親切でいい人たちで、とてもいい感じです。牧選手、田代選手とも少し話しました。オリンピックのこと、八村選手のことなど、がんばって日本語で話しています。小寺選手は先輩としていろいろ教えてくれています。以前の代表合宿で一緒だったフリッピン選手との再会や外国人選手に会うのも楽しみです。
楽しみが多いですが、もちろんこれから厳しくなってくると思っています。代表活動などありましたし、フルシーズンやるのは久しぶりなので、ゲーム勘を早く取り戻したいです。フルシーズン戦うために、怪我を減らすこと、そのためにも体の使い方を向上させ、可動域を広げていく。また、現在の体重は101キロですが、110キロまで体重を増やすのも目標です。
成長するためにプロになる
大学時代は困難が多く、それで成長することができました。代表活動後、大学に戻ることも考えましたが、オリンピックもありましたし、2023年にはW杯もあるので、早くもっと成長したいという思いがあり、プロになれば成長できると思ってプロ入りすることに決めました。
プロは、スキル、バスケIQがもちろん大学よりはるかに高く、気を抜いたらすぐにやられてしまいます。自分の時間が多いので、時間の使い方を大事に考えて成長に繋げていきたいです。ポテンシャルは認めてもらっているかもしれないですが、早く成長し、オリンピックの時の様に12人目の選手にならない様にしたいです。
そして、規律をもった人間として成長することも目標です。
ファンへのメッセージ
ルーキーで、プロの世界も沖縄もまだ知らないことが多く、どうなるか分からないですが、最高の結果が出るようベストを尽くすので温かく見守ってください。キングスはいい人が揃っているので、チームの応援もお願いします。試合でみなさんに会うのを楽しみにしています。
#9 渡邉 飛勇
生年月日 :1998年12月23日
身長 :207cm
体重 :106kg
ポジション:PF
出身 :アメリカ合衆国
出身校 :
2018-20 ポートランド大学
2020-21 カルフォルニア大学デービス校大学院
日本代表歴:
2018年度バスケットボール男子日本代表チーム
2019年度バスケットボール男子日本代表チーム
2020 年度バスケットボール男子日本代表チーム
2021年度バスケットボール男子日本代表チーム